このたびは、「ワクワク保養ツアーin光明園」を開催実施するにあたり、賛同並びに賛同金をいただきありがとうございました。このツアーは、地震発生10日後の2011年3月21日に全療協会長である神美知宏さんが、被災者支援の集いを開催していた真宗大谷派に対し「ハンセン病患者の強制隔離絶滅政策の被害者であり、帰るべき場所のない私たちではあっても、被災者への思いと共に、どのような支援ができるかを現在検討し実行に移しております。平均年齢80歳をこえる身であるゆえ、大きなことは申せませんが、これまでハンセン病問題に対してご理解をいただいてきた皆さまと共に、この苦難にぶつかっていきたいと決意しております。現在、すでに全国の療養所に呼びかけて取り組んでいることとして、被災者に送る義援金を募っております。さらに、被災者の救護所として療養所の一部を開放できないかと検討しています。この措置には、国の方針として厚生労働省も動いており、私たちもその実現をこころより願っています。ハンセン病療養所が、被災者のために用いられることは、大変有意義なことであると受け止めております。2009年4月に施行された「ハンセン病問題基本法」は地域への療養所の開放を指針としており、ハンセン病問題の解決にも資することであると考えております。」という「支援の連帯に向けて」のメッセージから始まりました。

 その後、全療協は定期支部長会議において、「義援金の募金活動とは別に、もう一歩踏み込んだ具体的な救援活動が求められているのではないかという認識で一致しました。そこで、「ハンセン病問題基本法」の完全実施を要求している立場から、いまこそ療養所の地域への開放と、生命の危機に直面している被災者の療養所への当面の受け入れを世間に公表し、政府に積極的にその実行を求める申し入れを行うことを決議しました。」と意思表明をされましたが、療養所での被災者の受け入れの希望はなかったと聞いています。

 この後の報告記にもありますが、この言葉を聞いた私たちの仲間の「療養所で子どもたちを受け入れて保養してもらうことってできないかなあ」との呟きから、現在交流を行っている療養所へ受け入れてもらえるよう働きかけることになりました。そして、菊池恵楓園、大島青松園、そして私たちが企画した邑久光明園での保養ツアーを実施することになりました。邑久光明園光明園でのツアーの様子は、別記報告記で報告いたします。この企画は、まず第1に療養所が被災者を受け入れてくれるかどうか、第2に運営に関わるボランティアの募集、そして、実施に必要な運営費の確保でした。ツアーの日程の企画と同時に賛同金の勧募を始めました。みなさまのご理解とご尽力により目標額以上の多くの賛同金が集まりました。また、宗派からもこの三つのプロジェクトに義援金の中から助成をいただきました。そして、ハンセン病療養所を管轄する厚生労働省からも参加者の滞在費(宿泊と食事代)を各自治会へ助成することが決定しました。

かつて療養所に隔離することでその人の存在を無かったかのようにしてきたハンセン病政策と、3.11以降の福島の人たちに対するこの国の対応は、共に国による政策によって人間として生きたいという根本的な願いを奪い続けているということです。放射能被曝という目に見えない不安は確実に福島の人たちが人間として生きたいという根本的な願いを奪い続けています。ハンセン病療養所はこれまで隔離の象徴として位置づけられてきました。しかしこれからは差別からの解放、いのちを守る象徴として療養所を位置づけていかなければならないと考えています。今夏は、三つの療養所で交流を行っているメンバーが発起人となって保養ツアーを行うことができました。また、栗生楽泉園では近隣の大学生ボランティアによる受け入れがなされたそうです。今後ハンセン病療養所での保養がどのような形で可能なのかも模索しながら息の長い支援を続けていきたいと考えております。「ワクワク保養ツアーin光明園」の報告とともに今後ともご支援をいただきますようお願いをし、報告にかえさせていただきます。

        
          2012年9月

       「ワクワク保養ツアーin光明園」実行委員会